【5】皮膚に何かを塗りたくってるのは、毎日浣腸して塞いでいるようなもの(笑)
○宮川:
この前、治療室で、男の子が「これあげる」って、焼き海苔をくれたのね。
●司会:
焼き海苔を持ち歩いてるってかわいいですね。
○宮川:
ね。で、なんでって聞いたら、
「もうすぐ賞味期限が切れそうだからあげる」って。
●司会:かわいい。
○宮川:
でもさ、食べて良いかどうかは、
本来、くんくん臭いを嗅いで、自分で判断するものだよね。
賞味期限が来たら捨てるとか食べないって、
それって、味覚、嗅覚、触覚を放棄して、
「情報」だけで判断しているってことでしょ?
感覚より情報を優先するって、現代の象徴だと思うけど、
これを繰り返してたら、生きる力が失われていくよね。
●司会:
先生がいつも言っている味覚、嗅覚、触覚ですね。
○宮川:
そう。私たちの本能を育むのは、嗅覚、触覚、そして味覚です。
人間の「生きる力」の源泉なんです。
それに、もし何か間違ったもの食べたとしても、排泄するチカラがあれば良いんです。
●司会:
はい。
○宮川:
よく、下痢自体が病気みたいに、下痢止めとか、吐き気をとめるとか薬があるけど、
下痢や嘔吐は、人間の素晴らしい自浄作用なんですね。
一番アブナイないのは、下痢もできない人。
嘔吐もできないような『鈍い身体』の人です。
●司会:
食中毒なんかもそうですね。
○宮川:
そう。身体がさっと反応して排泄できる人は、
もしかしたら生存率が高いかもしれない。
あとは、免疫力。口から悪い菌が入ったら、しっかり闘える免疫力が必要です。
でも、今は、抗菌!抗菌!除菌!除菌!の世界で、病気になって抗体を作る機会もない。
菌と共生できる身体にもなれない。
●司会:
かえって弱い身体になっているということですね。
○宮川:
赤ちゃんのときからそうだからね。
昔は、畳をベロベロなめて、砂場で砂を食べちゃったりながら、
キチンと免疫力をつけてたんです。
でも今は、そんな機会さえない。
そもそも菌が居心地良い場所って、
人間にとっても、人間にいる良い菌にとっても居心地が良いなんじゃないかなあって。
●司会:
確かに、栄養があって適当な湿気があって温かくて。。。
○宮川:
菌は自然界では、周りにウヨウヨしてるんです。
でも、みんながみんな、病気になるわけじゃない。
闘う力があって、解毒がうまくできて、
自分の菌があるべき場所にいて、働いていれば健康なんです。
そのバランス。菌と共生できる身体が大事。
●司会:
はい。
久保田先生も、「抗菌作用」のクラスや「薬のこと、精油のこと」で
同様の趣旨のことをおっしゃってました。
○宮川:
それから皮膚ね。
皮膚は排泄器官です。
本来、皮膚は汗をかいて、毒素を排泄するべき器官です。
でも、今は汗をかけない人が多い。
汗をかけない人は、月経トラブルも多いんです。
まあ、汗の話はまた別の機会にじっくりお話しますけど、
化粧品とかの特集で、皮膚から何かを入れよう入れようとする情報ってたくさんあるじゃない。
●司会:
はい。食事と一緒ですね。何が足りないから、何を取り入れようという。
○宮川:
何かを引くより、足す方がビジネスになるからね(笑)
でも、排泄器官ってことでいうと、皮膚に何かを塗りたくるのって、
排泄できないようにフタをしているようなものなんです。
一生懸命、一生懸命、肛門から浣腸して蓋をしているようなもんです。
●司会:すごい例えですね(笑)
○宮川:
でも、そうでしょ。
便秘したらニキビができること多いでしょ。
これは、排泄ができないからニキビになるんです。
皮膚だってかわいそうなんですよ。
●司会:はい。
○宮川:
だから、皮膚がきちんと呼吸できるように環境を作ることが大事。
●司会:
皮膚呼吸って言いますもんね。
○宮川:
出し入れできるようにすることです。
そもそも、消化器って、皮膚なんです。
●司会:
消化器が皮膚。。。?というと?
○宮川:
チクワってあるじゃない?
人間の身体をチクワに例えると、チクワの穴が消化器。
つまり、何か食べると、人間の『内側』に入る気になるけど、
『内側』じゃないのね。チクワの穴のように、外なんです。
●司会:
なるほど。
○宮川:
例えば、チクワじゃなくて消化器をレッグウォーマーに例えてもいいです。
レッグウォーマーの内側を裏返すと外側になるでしょ。
それと同じように、人間の消化器を裏返したら皮膚ですよね。
●司会:
想像するとちょっと怖いですけど(笑)、わかります。
○宮川:
腸は、いつも、これは身体の中に取り入れるもの、これは不要なものと、判断しているんです。
消化器も皮膚も、同じように、必要なものは取り入れ、必要ないものは体外に排出する
というチカラがあることが大切なんです。
●司会:
食事の影響が皮膚に出やすいのにも通じてますね。
○宮川:
発生学的には外胚葉と内胚葉とで別ですけど、
出し入れをしているという意味では似てるんです。
●司会:
はい。
○宮川:
例えば夏は排泄をするときです。
皮膚から汗をしっかりかけることが大事。
それによって、普段、排泄を担っている腎臓を休ませることができます。
●司会:
それで夏じたく講座などでは汗をかけとおっしゃっているんですね。
○宮川:
そうです。それから、夏は食欲がなくなりますよね。
それは自然なこと。無理して食べなくて良いんです。
食欲がないのは、いわば『治療』です。
身体に入れないで、消化器を休めているんです。
●司会:
冬に溜め込むためにも、一休みなんですね。
○宮川:
『食べること』と『排泄すること』はセットなんです。
●司会:
リズミカルボディで食事と排泄のリズムを扱いますもんね。