ハイジの子どもたち


こんにちは。事務局のみすです。

最近、久しぶりに「ハイジ」の原作本を読み直しました。
きっかけは「セラピスト」8月号 浸出油特集の取材に同席させていただいたこと。
安達先生が「ハイジにね、乳の出が悪くなったヤギのために
ハイジとペーターが匂いのいい草を探すシーンがあるんだけど、
あれ絶対アルニカじゃないかと思っているの!」と話題にされたのです。
私自身はこのエピソードについて記憶がなかったのですが、
「ハイジの白いパンと黒いパンって精製と未精製の話しですよね?」
「そうよね!都会で白いパン食べてるクララは歩けないし、
ハイジも夢遊病になっちゃう。でもクララは機能障害ではなかったんだもんね。」
・・と年若い編集者さんを前に、2人で盛り上がってしまったのです。

DSCN5275

さて、期待に胸膨らませて読んだ原作ですが、
意外なことに、薬草の具体的な名前は一つも記されていませんでした。

似たストーリーは確かにあるのですが、
ハイジとペーターが匂いのいい草を探すというストーリーは、日本のアニメ版のオリジナルだったのです。
アニメ制作にあたって、当時は画期的な現地取材を行ったそうですが
「匂いのいい草」はその成果だったのでしょうか。
(ちなみに「クララの意気地なし!」もアニメ版オリジナルでした!)

それはそれはおいしそうに描かれるハイジの食卓も、
多品目をバランスよく食べなくちゃと思い込んでる21世紀の日本人から見れば、驚くほど簡素。
黒いパンとしぼりたてのヤギの乳、
おじいさんがヤギの乳から作ったチーズと、ごくたまに干し肉といった程度で
ハーブもハーブティも食卓に上りません。
おじいさんはクララに栄養をつけるために、
どの草を食べたらいいかいちばんわかっているのはヤギだから
ヤギの行きたいように行かせろ、とペーターに指示したりします。
人間は草の栄養を、ヤギの乳や発酵食を通して摂取しているのですね。
風土にあった伝統的な食生活の様子が垣間見えます。

白いパンと黒いパンに象徴されるように、お日様とともにある山の生活と、
窓から木々の見えない都会の息詰る生活とが、わかりやすく対比されています。
環境や風土がいかに人々の健康に与えるか、という考え方は
自然療法に親しむ私たちにも、おなじみのものですよね。

訳文の美しさに夢中になりつつ、アニメと比較しながら読み進めていく内に、
もしかして、自然療法に興味があるから、ハイジに惹かれるのではなくて、
幼い頃からアニメ版ハイジの世界に馴染んできたからこそ、
大人になって、アロマテラピーに惹かれたのかもしれない、と感じました。

それは私の個人的な体験ではなく、アロマテラピー愛好家の多くの方に共通する
バックグラウンドなのではないかとも思うのですが・・いかがでしょうか?
(そんなこととっくに気づいてたと、アン派の人や、ローラ派の人に言われそう。。)

そもそも1970年代になぜ19世紀末の児童文学がアニメ化されたのでしょう。
アニメ版には原作と違って「キリスト教主義の道徳観」が描かれなかったぶん、
自然崇拝が強調されていると指摘した文章を目にしましたが、なかなか興味深いです。
日本のアロマラピー受容に,世界名作劇場がなんらかの影響を及ぼしている。。
なんて、考え過ぎでしょうか?

訳者の矢川澄子によると、作者のシュピリはゲーテを敬愛してやまなかったとか。
ドイツ語圏に生まれ育ったマルグリット・モーリーも、幼い頃に読んだでしょうか?
「自然」も「子ども」も最初からそこにあるものではなく、
近代になって見いだされた存在だと考えてみると、
アロマテラピーの起源がちょっと俯瞰して見えてくるような気がします。

ちなみにこれは、東京都美術館で行われているターナー展に出展されていた1806年頃の作品。
ターナーは、なんどもイタリアを訪れていて、道中のアルプスもスケッチを残しています。
ヤギじゃなくて牛ですが、少年はペーターそっくり!

DSCN5089


Facebook

関連記事

Comment





Comment